『美しい彼』を読んでください



こんにちは、nasaです。


早速ですが、本日の投稿、目的は非常にシンプルかつ明快です。
『美しい彼』を読んでください。それを訴えたいがための投稿です。


先日ツイッターでちょっとだけ商業BL小説の話題になったことがあり、それなら私死ぬほど好きな本があるよと呟いたのをきっかけに、好きなものを全力でプレゼンしたいヤクザのような一面がむくむくと湧き上がってきてしまいました。

以来、口を開けば『美しい彼』を読んでと各方面にヤクザしまくっているのですが、ヤクザをやるからには全力でこのご本の素晴らしさを訴えなければとこうして長文をしたためることにした次第です。


『美しい彼』とは、キャラ文庫から出版されている凪良ゆうさんの商業BL小説です。
現在シリーズ化されており、第2巻『憎らしい彼』まで発売されています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4199007806/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_DyFuCbT6T4HPS

作者様がまだ続きがあるようなことを仰っていたのが神の恩恵にも思えてよぼよぼのおばあちゃんになっても待ち続けようと心に誓ったのですが、今年3巻が出るとの情報に階段からすっ転げ落ちました。
絶対に生きねばならない。発売日まで。死んでも生きる。私は生きるぞ……!!!


このお話のプレゼンをする前に、一言だけ言わせてください。
これから私は頑張ってこの本の魅力を伝える努力をしますが、9割間に受けないでください。
間に受けない、ではないか。本気にするな、でもない。嘘を書くわけじゃないです。そうじゃないんですが、私がこれから書く言葉でなんとなくこの話を知った気にならないでください。

うまい言葉がないんですが、つまり、これからなんとか既存の言葉を組み合わせてこの話について説明しようと試みますが、そんなものに当てはめることができないくらいこのお話は唯一無二で特別だ、ということです。

地味キャラ攻めだとか、王様受けだとか、主従関係とか、スクールカーストうんぬんとか、そういうので一括りに説明されていい話でもキャラクターでもねーんだわ。(立ち上がるヤクザ)
平良くんは特別だし、言わずもがな清居くんもとても特別なひとです。なんちゃら受けとかのカテゴリーに簡単に入れられたら私と平良くんが心のマシンガンをぶっ放しますよ。
作中で平良くんが清居くんをとても説明できない特別なひとだと言ったように、私にとっては彼らもこの話も簡単に説明できるようなものではないのです。

美しくて、特別で、他のお話と比較することもできない。
二人の関係を既存の枠組みに当てはめて振り分けることもできない。
尊くて神聖な関係なのに、後半一気に爆萌えの爆弾に吹っ飛ばされるから呆然としてしまうんですよ・・・
だからどういう話?と尋ねられてもこういう話!と一言で伝えることもできない。
伝える言葉がないので、いいからとりあえず読めやとヤクザになることしかできない。
でもヤクザにも知性が必要なので、あっ読んでみようと一人でも多くの方に思ってもらえるようにプレゼンを試みたいと思ったのです。

ですが、ここで最大の矛盾。
私がここで下手な言葉でプレゼンしたら、『美しい彼』が陳腐なものになってしまう。
余計な情報を仕入れず、ありのまま純度100%の『美しい彼』を読んでほしい。
だけどヤクザしただけでは心動かされない方に訴えることはしたい。
苦しい。すべてが蛇足な気がする。


蛇足であることを認識しつつも、やっぱりプレゼンしたいので、余計なことですがこれから『美しい彼』のあらすじについてご説明します。
そこまで言うなら読んでやるよって方、ここから先は読まなくていいから今すぐ本を読んで!!!





平良(ひら)は幼少期から吃音(焦ると言葉がつっかえてしまう病気)持ちのせいで内向的な性格でした。
揶揄ってくる同級生はまるで猿のようで、周りに理解されない平良は地味に目立たないように毎日をただ流されるように過ごしていました。

高校二年の初日、同じクラスにずば抜けた容貌の男子がいることに気づきます。美しい外見、超然としたクールな態度、一目で釘付けになったその同級生は自身を清居奏(きよいそう)と自己紹介しました。
見惚れていた平良は慌ててしまい、クラスメイトたちの前で吃音を晒してしまいます。自動的にクラスの最底辺にポジショニングされた平良。以来、清居とその取り巻きたちにいいようにパシリとして使われるようになります。
でも、それは平良にとって悲しいことではなかった。取り巻きたちは馬鹿で煩くて煩わしいけれど、清居はどもる平良を「きも」「うざ」と両断する一方で悪意で踏みにじったりしない。クラスメイトに媚びることなく、誰かの顔色を伺うでもなく、自分の気分とルールでクラスの頂点に君臨する王様。

「清居の前では誰もが等しく無価値なんだ」

そう悟った平良は、清居に絶対的な憧れと畏怖を抱き、王様の所有物として生まれて初めての生き甲斐を感じるようになります。
クラスの底辺で大きな力に逆らうこともできずに流されるままの自分と、対して自分のルールのみに従い超然と生きる清居。彼は決して善人などではなくて、人を傷つけもするし平気でパシリにも使う。でもその揺るがない強さこそが、平良を救ってくれるのです。

平良の強烈な視線はやがて清居本人にも気づかれます。

なんで俺ばっか見てんの。
キモいんだけど。
うざ。

心ない言葉。興味のない態度。でも、それが震えるほどに清居らしいのです。



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ここまで読んで、実際に本を読んでみようかなと思ってくださった方、ありがとうございます!今すぐアマゾンに飛んでいただき、本を読んでください!以下は読まなくて大丈夫です!
まだ決めかねている方、以下にもう少しあらすじを書いていきますが、決して本筋のネタバレはしないものの多少ストーリーについて触れるので自己責任でお願いします!
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つづき。
やがて雑誌のコンテストに出場したりモデルの仕事を始めるようになった清居は地域で有名になる一方、取り巻きたちの反感を買うようになります。
平良には取り巻きたちが清居を貶めるのが馬鹿らしくてならない。清居はほかの誰とも違う。他と比べて批評していい対象じゃない。清居は清居であって、それだけで特別な存在なんだから。
エスカレートする悪意に、けれど清居本人はまったく動じることもなく、平然としている。それがますます平良の清居への陶酔を深めます。
あるときとうとう度の越えた清居への攻撃があり、ついに平良は立ち上がり、王様のために拳を振り上げます。それは清居のためというより、流されるままだった自分を繋ぎ止めるための拳。恐れる取り巻きたち。驚く清居。少しずつ、清居の視界に平良が映り始めます。


目配せひとつで放課後の準備室に連れられてきた平良。
きもい。何考えてんの。いつも俺ばっかり見てるな。そう言いつつ、まあどうでもいいけど、と締める清居。
清居は特別だ、俺にとっての王様だ、最後の一兵になっても清居を守りたい。そんな言葉を息巻く平良に、清居はうざそうにしながらも否定したり拒絶したりしない。その超然さにクラクラとして、平良は写真を撮ってもいいかと尋ねます。吃音持ちの息子のために、両親が昔一眼レフを買ってくれ、カメラが唯一の趣味だったのです。

うざそうにしながらも、拒絶をしない清居。
誰もいない教室で、美しい清居をファインダー越しに焼き付けていく。どんな表情もどんな仕草も美しくて、一瞬でも目が離せなくて、体中すべてが震えるほど完璧で。
手の甲を差し出す清居に、平良は絶対服従の口づけを送ります。

(この高校という禁欲的な場所で交差する二人の従属関係がほんっっっっとに美しくて心が震えるんだよおおおおおお他の誰にも理解されないし本人たちもわかりきっていないけど完璧に満たし合えてるこの関係が!!!!たまんねえんだ!!!!!!読んで!!!!!!)


これ以上は蛇足が過ぎると思うのでこのくらいにします。
美しく生々しい高校時代、そしてふたりは卒業とともに離れていくのですが・・・ですが・・・

ここからこんな爆萌えの連鎖なのほんとうに読者生きてる?大丈夫?私はまったく大丈夫じゃない。
後半なんと清居くん視点パートが待っているのですが、ジーーーーーーザスクライスト!!!!!!嘘でしょ待ってこんなこと考えてたの!!!????????となります……

もう、早く読んで……頼むから読めや(どうしても出てくるヤクザ)



この本と出会い、突然の嵐のような衝撃に私の世界が一変したと言っても過言ではありません。
2年ほど前、まだ赤安にハマる前ですが、色々なジャンルの二次を読みつつ商業もいっぱい読んでいた頃。
二次創作も大変素晴らしいんだけどがっつり練られたプロの作品は読後の満足度が非常に高くて、そう言う意味で商業はすごかった。
その中で大好きな作家さんを見つけ、作品を片っ端から読んでいた時に出会ったのがこの『美しい彼』でした。

あまりの衝撃に呆然として、物的証拠を残さないためにKindleで読むというルールを曲げてすぐ本を買いました。美しい挿絵を見ずして死ねないと思ったので。で、挿絵を見てぶっ飛びました。
言葉ですら表現しきれない清居くんの美しさが絵で完璧に再現されてるんですよ・・・・・・
すごかった。何もかもすごかった。

それからすぐ半年間の留学で日本を離れることになったのですが、『美しい彼』と続編の『憎らしい彼』だけは本で持って行きました。
夏のメルボルンの美しい公園の片隅で、毎日学校帰りに繰り返し読んだ。どこへ行っても美しい彼は素晴らしくて、英語の語彙を増やしたいのに日本語の美しさに惚れ惚れしてしまう。


平良くんの瞳を通して見える世界のなんと残酷で美しいこと。
残酷で、生々しくて、でもその中にたった一人君臨する美しい人。その人の前では常識も倫理観も全て吹っ飛んでしまう。
その人が生きているだけで、残酷な世界に意味が生まれる。


「自分と清居の間に起きたことを言葉にして、だから好きなのだと恋愛に関連づけることは不可能な気がする。どれだけ言葉を並べても、言葉にできないそれ以上のなにかがあって、それが自分を清居につなぎとめている」


この言葉に尽きる。
だから読者である私に二人の関係を説明することなんてできない。
二人の関係は二人だけのもので、他人には触れられない聖域なんです。
それがあまりにも美しい。今すぐ読んで確かめて欲しい。


清居くん視点はもう生きた心地がしないくらいやばいし、なんなら2巻はもっとやばいし、とにかく読んで、一刻も早く読んだよって教えてください。なんでもしますから!読めや!!!(抑えきれなかったヤクザ)

・・・やっぱりこのお話の魅力をこれっぽっちも伝えられなかった気がする。
辛い。もどかしい。でも絶対後悔はさせないから『美しい彼』を読んでください。


本当に、どうか、『美しい彼』を読んでください!!!!!


nasa

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